【レビュー】ALLPARTS CTS No-Load Pot 「クリック感なし」の実力と、現場での使いこなし術

こんにちは、masa BLIK ito(まさぶりっくいとう)です。(@masabliks

今回はALLPARTS CTS No-Load Pot、トーンポット導入のお話。

結論から言うと、ALLPARTS CTS No-Load Potは、「Fender純正のクリック感が苦手」かつ「ヴィンテージライクな操作感」を求める人にとってのベストアンサーです。 Black SmokerやSuhrといったハイエンドギターに搭載した結果、単純な「ハイ上がり」だけではない、ピッキングへの追従性とロックなフィーリングが得られました。

今回は、自宅レベルだけでなく、スタジオやライブの大音量でどう響くのか?という実践的なインプレッションと、合わせて導入したい「鵺デバイス」についても触れていきます。

目次

ALLPARTS CTS No-Load Pot の特徴

まずは基本スペックのおさらいです。

  • 型番: EP-4185-000 (250k) / EP-4186-000 (500k)
  • 製造: CTS社製(ALLPARTSオーダー)
  • 構造: 「へそあり」ヴィンテージスタイル
  • 最大の特徴: フルテン時のクリック感がない

Fender純正品にある「カチッ」というクリック感がないため、プレイ中に無意識レベルでバイパス(フルテン)〜トーン回路介入を行き来できるスムーズさが魅力です。

現場インプレッション:Black Smoker & Suhr

実際にBlack Smoker SIGMAとSuhr Classicにインストールし、スタジオの大音量で鳴らしてみました。

1. 大音量での「誤差」と「脅威」

正直なところ、ドラムやベースが鳴り響く爆音の中では、No-Loadによる繊細な倍音の変化は分かりづらい瞬間もあります。 しかし、明確に違うのは「突き刺さる帯域」です。

  • メリット: フロントPUでのクリーントーンやクランチにおける「生々しさ」は代えがたい魅力。膜が取れたようなリアルな弦鳴りがあります。
  • デメリット: 場面によってはハイが強すぎて「耳に痛い」と感じる瞬間も出てきます。

2. 「絞れば解決」というシンプルさ

ここで効いてくるのが「トーンポット」であるという事実です。 ハイがきついと感じたら、少し絞ればいいだけです。 No-Load Potはフルテンで「回路バイパス」、少し絞れば「通常のトーン回路」として機能します。 「普段は7〜9.5くらいで甘さを残し、ソロやここぞという場面で10(バイパス)にしてリミッターを解除する」 という使い分けができるのが、単なる配線カットとは違う強みです。

3. トルク感と操作性

ヴィンテージスタイルの「へそ付き」ポットのため、トルクは非常に軽いです。 演奏中に小指一本で瞬時にトーン調整ができるため、上記の「ハイの痛さを微調整する」動作がストレスなく行えます。

さらなる高みへ:「鵺デバイス」との組み合わせ

No-Load Potを使うということは、逆に言えば「トーンを絞った時の音質」にも敏感になるはずです。 そこで合わせておすすめしたいのが、OVALTONEの「鵺デバイス(Nue Device)」です。

なぜ鵺デバイスなのか?

No-Load Potで暴れさせたハイを、通常のコンデンサよりも**「マイルドかつ自然」**に整えてくれるからです。

  • 通常のコンデンサ: 絞ると音がこもりがちになり、使えるポイントが狭いことも。
  • 鵺デバイス: 絞り込んでも音の芯が残り、複雑な倍音感を維持したまま高域をロールオフしてくれます。

「10で全開の暴れ感」をNo-Load Potで作り、「絞った時の極上の甘さ」を鵺デバイスで作る。 この組み合わせは、パッシブ回路のギターにおける最強のトーンコントロールと言えるかもしれません。

ちなみに自分はオールドタイプで自然と言われているROSSを使用しています。

まとめ:ALLPARTS No-Load Potはこんな人におすすめ

  • Fender純正の「クリック感」が邪魔だと感じる人
  • フロントPUの「あと一歩の生々しさ」を引き出したい人
  • 手元のコントロールで「暴れる音」と「まとまる音」を行き来したい玄人

たった1個のパーツ交換ですが、SuhrやBlack Smokerのポテンシャルを「解放」しつつ、コントロールの幅を広げる良い改造になりました。 「ハイが出すぎるなら絞ればいい」という当たり前のことを、最高に気持ちよく実践できるパーツです。

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