Xrecer-XR1

Xrecer XR1リサーチ-Quad Cortexの最大のライバルとなるか?

皆さんこんにちはmasa BLIK ito(まさぶりっくいとう)です。(@masabliks

機材の進化スピードが止まりません。

先日はNeural DSPから小型化の極致である「Quad Cortex mini」が発表されましたが、今回はその逆とも言える「Xrecer XR1」について調べていきます。

Quad CortexやHelixが築いてきたフロアモデラーの常識を、オーディオメーカーの視点で根底から覆そうとするモンスターマシンです。

入手した詳細なレポートをもとに、この「ポストDSP」を掲げる次世代機の実力を、ボード構築派の視点で徹底解剖していきます。

目次

Xrecer XR1 とは?:オーディオ界からの刺客

Xrecerを展開するのは、香港のPremium Sound Asia Limited。

64 AudioやUnique Melodyといった超高級イヤモニやハイエンドオーディオ機器を扱ってきた彼らが、「既存のDSPは静的すぎる」として立ち上げたブランドです。

開発チームは「Silent Architects(沈黙の建築家)」と呼ばれ、これまで有名ブランドの裏方として技術を支えてきたエンジニアたちが集結。

彼らが目指すのは、単なるアンプの模倣(エミュレーション)ではなく、「アナログ回路の本能的反応」をデジタルで再現することです。

圧倒的なスペック:PC級の演算能力

スペックシート上では、これまでのマルチエフェクトプロセッサーとは一線を画します。

心臓部: Octa-core CPU + Quad-core GPU

8コアのCPUに加え、なんと4コアのGPU(グラフィックチップ)を搭載しています。

演算能力は450 GFLOPS。

これは初期のPlayStation 3の約2倍らしいです。

視覚革命: 10インチ HDタッチスクリーン

Quad Cortexが7インチ、Helixが6.2インチの世界に、iPad並みの10インチ画面を投入してきました。

複雑なルーティングもスクロール不要、指に吸い付くような操作感が約束されています。

筐体: CNCアルミニウム・ユニボディ

航空宇宙グレードのアルミ削り出し筐体を採用。

ファンレスで静音性を保ちつつ、筐体全体をヒートシンクとして機能させる設計は、ハイエンドオーディオ機器そのものです。

Quad Cortex (QC) との徹底比較

「で、QCとどっちが凄いの?」という疑問に答えるべく、スペックと設計思想を比較しました。

フラッグシップ対決表

特徴Neural DSP Quad CortexXrecer XR1
設計思想機械学習をコンパクトに凝縮オーディオ的快楽とPC級パワー
プロセッサSHARC DSP x4 + ARMOcta-core CPU + Quad-core GPU
画面サイズ7インチ タッチ10インチ HDタッチ
I/O (USB)8 In / 8 Out16 In / 16 Out
キャプチャNeural Capture (要学習時間)Native CapX (AI完全自律型)
サイズ感B5サイズ (ギグバッグに入る)大型 (Helix Floor級と推測)
ファンタム電源対応 (Input 1/2)対応 (独立XLR Input)

入出力のバケモノ

XR1のUSBオーディオは驚異の「16 In / 16 Out」です。

ドライ音、ウェット音だけでなく、各エフェクトブロックの出力まで個別にDAWに送れるレベル。

さらにXLRマイク入力(ファンタム電源対応)も独立しており、弾き語りやボーカルプロセッシングもこれ一台で完結します。

450 GFLOPSがもたらす音響的恩恵

XR1の最大の特徴である「450 GFLOPS」という演算能力。

「ギター機材にそこまでのパワーが必要なのか?」

この疑問に対し、技術的な観点から具体的なメリットを3つ挙げます。

AI推論のリアルタイム化と高解像度

Neural CaptureやNative CapXといったAI技術の精度は、計算リソースに依存します。

XR1のパワーは、より多くのニューロン層を持つ複雑なニューラルネットワークモデルを、遅延なくリアルタイムで実行することを可能にします。

結果として、アンプモデルの解像度が向上し、ピッキングの強弱に対する歪みの追従性など、微細なニュアンスの再現度が一段階深くなります。

オーバーサンプリングによる「高域の滑らかさ」

デジタル機材特有の「冷たさ」や「硬さ」の原因の一つに、エイリアシングノイズ(折り返し雑音)があります。

これを防ぐにはオーバーサンプリング処理が有効ですが、高い倍率で行うにはCPUに多大な負荷がかかります。

XR1は余裕のあるパワーを活かし、システム全体で高倍率なオーバーサンプリングを行うことができます。

これにより、高域のジャリッとしたデジタル臭さが消え、アナログ機材のような滑らかなプレゼンス成分が得られます。

ポリフォニック処理とルーティングの自由

複雑なルーティングを組んだ際、従来のDSPでは処理落ちや音切れ(ドロップアウト)を避けるために機能制限がかかることがありました。

XR1では、デュアルアンプやクワッドアンプといった複数の信号経路を同時に走らせても、CPU負荷による制限を受け付けません。

空間系エフェクトを多重にかけても音の芯が痩せない、太いシグナルパスを維持できます。

masa's View:誰が買うべき機材か?

Quad Cortex miniやNano Cortexが「ミニマリズム」への回答だとしたら、Xrecer XR1は「マキシマリズム」への回答です。

ボード構築派への提言

この機材は、既存のペダルボードに組み込むものではありません。

「これ一台をドカッと置いて、世界観を完結させる」ための母艦です。

10インチ画面は、ライブ中にしゃがみ込んで操作する際、圧倒的なアドバンテージになります。

中年ギタリストの老眼に優しいどころか、立ったままでも視認できるレベルかもしれません。

「余裕」を買うという意味

450 GFLOPSという数値は、正直なところギタープロセッサーとしては、過去の流れを見ると過剰とも言えるそうですね。

しかし、かつて「ハイレゾ音源なんて人間に聞こえない」と言われていたものが、今や標準的な高音質の基準になったように、この「余裕」が次世代のスタンダードになる可能性は否定できません。

特にライン録音を多用する現代のギタリストにとって、EQでは作れない「質感」の部分に直結します。

弾いている本人が「なんとなく気持ちいい」と感じるアナログライクな感触は、実はこうした目に見えない演算処理の積み重ねから生まれているのです。

Xrecer XR1 まとめ

2026年、機材の進化は「小型化」と「超高性能化」の二極化が進んでいます。

その極北に位置するXrecer XR1。

スマホのような操作感でストレスフリー

妥協なきオーディオグレードの音質

AIモデルの高解像度化によるリアルな挙動

もしあなたが「重さは気にならない、とにかく最高スペックの音が欲しい」という求道者なら、この黒船に乗らない手はありません。

ライブ会場のPAスピーカーよりも、静かなスタジオのモニタースピーカーや、高性能なイヤモニで確認した時にこそ、その真価を発揮するでしょう。

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