皆さんこんにちはmasa BLIK ito(まさぶりっくいとう)です。(@masabliks)
2026年のディストーションペダルは単にゲインが高い歪みペダルから、アンプ的な挙動を示す物が増えてきました。
環境に合わせて「アナログかデジタルか」など選択肢も増えており、さらに楽しみが増しています。
目次
定番モデルディストーションの再構築
長年愛されてきたディストーション回路を現代のレコーディングやライブ環境に合わせてアップデートした3機種です。
これらは懐古主義ではなく、ノイズフロアの改善や帯域バランスの調整が施された実戦的なツールです。
JHS Pedals PackRat
スペックと特徴
- 9つの異なるRAT系回路を搭載
- デジタルモデリングを使用しない完全アナログ回路
- LM308オペアンプ特有のサウンドを再現
回路とサウンドの分析
1979年の初期型からLandgraff MODまで、歴史的なRATサウンドを物理的な回路切り替えで網羅しています。
特筆すべきはデジタルエミュレーションではなく、内部に実際のコンポーネントを詰め込んでいる点です。
オペアンプの変換速度(スルーレート)の遅さが生む独特の粘りと、高域の丸みが忠実に再現されています。
インプレッション
クラシカルなRATフリークにはかなり魅力的なペダルです。
楽曲に合わせて「もう少しコンプ感が欲しい」場合はDirtyモード、「抜けを良くしたい」場合はTurboモードへなど、アレンジが可能です。
9つのモードすべてを使うユーザーそういないかもしれません。
実質的に使用するのは2〜3モードほどになるので、割高に感じる人もいるかも知れませんね。
Boss MT-2W Metal Zone (Waza Craft)
スペックと特徴
- BOSS No.1売上を誇るMetal Zoneを再構築
- ディスクリートパーツ採用によるS/N比改善
- デュアル・ゲイン回路とセミ・パラメトリックEQ Standard/Customモード切替が可能
回路とサウンドの分析
かつて極端なEQ設定により「扱いにくい」とされた名機が、技クラフトとして再生されています。
CustomモードはStandardよりもレンジが広く、低域のレスポンスがタイトに調整されています。
中域の周波数を自在に操るパラメトリックEQは、現代のジェント(Djent)やプログレッシブ・メタルにおいて頼りになる機能です。
インプレッション
アンプのインプットに繋ぐことはもとより、Return端子に接続してプリアンプとして運用しても効果を発揮します。
Customモードの解像度はブティックアンプに肉薄するレベルです。
一方で、EQの効きが鋭敏すぎる点は変わらないので、スイートスポットを見つけるために
多少の慣れが必要です。
EarthQuaker Devices Zoar
スペックと特徴
- オール・ディスクリート回路
- 入力段の低域量を調整す
- Weightコントロール
- パッシブ3バンドEQ
回路とサウンドの分析
オペアンプを使用しない設計は、ヴィンテージ・ファズに近いアプローチです。
しかし出音はモダンで制御されており、トランジスタ特有のダイナミクスを持っています。
Weightノブは歪みの質感を根底から変えるパラメータで、低く設定すれば鋭いクランチ、高くすれば壁のようなファズ・ディストーションへと変化します。
インプレッション
ギターのボリューム操作に対する追従性は、今回紹介する機種の中で群を抜いています。
手元でクリーンまで戻せるため、アンプライクな挙動を好むプレイヤーには最適です。
反面、コンプレッション感が薄いため、ミスが目立ちやすい傾向にあります。
演奏の粗をごまかしてくれない、プレイヤーの技量が試される一台です。
ハイゲイン・アンプへの代替としてのディストーション
アンプのサウンドをペダルサイズに閉じ込めたAmp in a Boxの観点からの製品です。
特にEVH 5150サウンドへのアプローチで、アナログとデジタルの回答が出揃いました。
MXR EVH Modern High Gain Distortion
スペックと特徴
- 5150 Redチャンネルをターゲットにした完全アナログ回路
- FET多段増幅構成
- Bass Shiftスイッチ(55Hz/80Hz)
回路とサウンドの分析
2026年NAMMで話題となった、EVHの名を冠した5150系ペダルです。
あえてアナログ回路でハイゲインの頂点を目指した意欲作といえるでしょう。
FETをカスケード接続することで真空管のサチュレーションを模倣しています。
Bass Shiftスイッチはキャビネットの共振周波数をシミュレートしており、接続するアンプのサイズに合わせて低域の出方を補正できます。
インプレッション
優秀なノイズゲートを搭載しており、深く歪ませてもリフの切れ際がよくなります。
5150系の正当ペダルとして今後サウンドが気になるペダルです。
Universal Audio UAFX Anti 1992
スペックと特徴
- 初期型Peavey 5150(ブロックレター)のコンポーネント・モデリング
- キャビネット/マイクシミュレーター内蔵
- アプリ連携による詳細設定
回路とサウンドの分析
アンプヘッドだけでなく、キャビネット、マイク、スタジオのアウトボードまで含めた「シグナルチェーン全体」を再現しています。
DSPの演算能力を贅沢に使い、スピーカーのコーン紙が震える挙動までシミュレートされています。
インプレッション
ライン出力における空気感の再現度には定評があります。
宅録やイヤモニ環境のライブでは、本物のアンプ以上の結果を容易に出せます。
400mAという消費電流はなかなかですが、デジタルペダルなのでパワーサプライもアイソレートされたものが必要になります。
Lichtlaerm Audio Thorn
スペックと特徴
- Providence Stampede SDT-1回路の再構築
- 高電圧駆動による広大なヘッドルーム
- 独立ブースト・セクション
回路とサウンドの分析
ポストメタルの巨匠「Amenra」とのコラボで生まれたこのペダル。
モダンハイゲインの主流である「温かみ」とは対極にある、冷徹で硬質な歪みです。
アクティブEQの効き幅が広く、極端な設定でも音が潰れません。
ポストメタルやスラッジなど、音圧で空間を埋め尽くすジャンルに特化しています。
インプレッション
唯一無二の壁感がある歪みです。
しかし、そのキャラクターがかなり立っている、ブルージーな表現やクラシックロックには向かないので特化型のディストーションと見るべきですね。
Sinvertek N5 MGAT-5
スペックと特徴
- Soldano SLO-100系を志向した多段ゲイン回路
- ピッキングのSag(コンプ感)を再現
- 多彩なトーンシェイピング・スイッチ
回路とサウンドの分析
多数のスイッチとツマミで圧巻なルックス。
粒立ちが非常に細かく、ゲインを上げてもコードの分離感が失われません。
確かにSLO-100のようにもっちりとしたリッチな歪み感を感じます。、ピッキングした瞬間のわずかな潰れ感まで再現されています。
インプレッションと懸念点
音色は極上ですが、筐体側面のスイッチ類が小さく、操作性に関してはちょっと苦労しそう。
また設定箇所が多すぎるため、迷宮入りするリスクがあります。
一度決めた設定を頻繁に変えるようなライブ運用には不向きで、レコーディングでじっくり音を作る用途に適しています。
変わり種ディストーションペダル
既存の回路設計から逸脱した実験的なモデル群です。
これらはエフェクターの領域を超えて、楽器の一部としてフレージングに影響を与えます。
Gamechanger Audio Plasma Coil
スペックと特徴
- キセノン管内の3500V放電(プラズマ)による歪み生成
- ダイオードクリッピング不使用
- 入力信号が途切れると放電も止まるナチュラル・ゲート
回路とサウンドの分析
電気的なバリバリとした質感と、強烈なゲート感が特徴です。
信号をプラズマに変換する過程で、波形は矩形波に近い形状になります。
Jack Whiteとのコラボレーションにより、オクターブやハーモニック・シリーズの生成機能が追加されています。
Fuzzと捉えても良いバリバリ感が非常に気持ちいいです。
インプレッションと懸念点
視覚的なインパクトと破壊的なサウンドは、飛び道具として強力!
キセノン管内の放電が止まると自然とサステインが止まるので、常にゲートがかかっている感覚になります。
そのため、ブチブチと減衰が途切れる感覚に慣れていないと面食らいます。
Rainger FX Break Box
スペックと特徴
- Tone Bender系回路にスクラッチ音生成機能を融合
- ピッキングに反応するターンテーブル・エフェクト
- サステイン部のみにかかるコーラス
回路とサウンドの分析
基本となる歪みはColorsound系の太いファズ・ディストーションです。
そこにピッキングのアタックをトリガーとしたノイズバースト(スクラッチ音)が付加されます。
インプレッションと懸念点
ギタリストがDJ的なアプローチを行える稀有な機材です。
ただしスクラッチ音の制御は慣れが必要で、意図しないタイミングで鳴ることもあります。
楽曲を選ぶ以前に、バンドメンバーの理解を得るのが難しいペダルかもしれません。
Source Audio Ultrawave
スペックと特徴
- 最大10バンドのマルチバンド・ディストーション
- LFOやエンベロープによる動的制御 PC/スマホエディターによる編集
回路とサウンドの分析
帯域ごとに異なる歪みを適用することで、和音の濁り(相互変調歪み)を解消できるというディストーション。
シンセサイザーのような音作りが可能で、ギターの信号を素材として再構築するプロセッサーです。
インプレッションと懸念点
可能性は無限大ですが、本体のノブだけで操作できる範囲はごく一部で、 PCでの綿密なエディットが前提となります。
プラグイン感覚で接する必要があるので、アナログ派にはとっつきづらさもありそうです。
まとめ
2026年のディストーション選びは、自身の演奏環境と目的を明確にすることから始まります。
往年の安心感があるJHS PackRat、Boss MT-2W。
デジタルペダルに嫌悪感がなく汎用性が高く、評判も高いUAFX Anti 1992。
本家の音に酔いたい場合、MXR EVH Modern。
既成概念を壊したいなら、変わり種ペダルたち!
ディストーションペダルは音の骨格を決定づけます。 妥協なく選んでください。
