皆さんこんにちは、masa BLIK ito(まさぶりっくいとう)です。(@masabliks)
Marcus King(マーカス・キング)を聴いたことはありますか。
まだ20代なのにブルースの深みが尋常じゃない。しかもロック、カントリー、ソウルまで横断する音楽性を持っていて、「この人、前世何回ブルースマンやってるんだ」と思わざるを得ないわけです。
おじいちゃんのES-345「Big Red」を受け継いで弾くソウルフルなプレイ、カスタムOrangeアンプ、そして「入手しやすいペダルだけで組んだ」ペダルボード。
今回はそんなマーカスの機材を2026年現在の構成で掘り下げていきます。
目次
Marcus King 使用機材一覧
ギター
- Gibson ES-345 “Big Red”(祖父から受け継いだヴィンテージ)
- Gibson Marcus King Signature ES-345 Custom
- Gibson Les Paul ‘57 Goldtop Reissue
- Gibson Hummingbird(アコースティック)
アンプ
- Custom Orange 30W Head(6L6管 / ブリティッシュプリ+アメリカンパワー)
- Mojotone製 8x10 カスタムキャビネット
エフェクター
- Ibanez TS9 Tube Screamer
- MXR Micro Amp(クリーンブースト)
- Tru-Fi Two Face Fuzz(ゲルマニウム+シリコン切替)
- MXR Phase 100
- MXR Micro Chorus
- Dunlop Rotovibe(コーラス / ビブラート)
- Tru-Fi Ultra Tremolo
- Dunlop Echoplex Delay
- MXR Reverb
- Dunlop Cry Baby Wah
- Dunlop DVP4 Mini Volume Pedal
- Voodoo Lab Pedal Power 3 Plus
マーカスのサウンド哲学:「ステージで壊れない機材を使う」
彼のペダルボードを初めて見たとき、「え、こんなに普通のペダルなの?」と思いました。
MXR、Dunlop、Ibanezのチューブスクリーマー。全部普通に楽器屋さんで買えるやつです。
これが意図的なんですよね。マーカスは「ツアー中にペダルが壊れたら、その日のうちに現地の楽器店で同じものが買えること」を重視している。
ブティックペダルやヴィンテージの名機にこだわるギタリストが多い中で、この実利的な考え方は逆に新鮮です。音楽の本質はペダルの希少性にはないし、壊れた時にスペアがない不安を抱えたままステージに立ちたくない。
すごく共感できます。
メインギター:受け継がれたES-345 “Big Red”
さあ見ていきましょう。/pochipp
Gibson ES-345 “Big Red”
おじいちゃんから受け継いだヴィンテージのES-345。マーカスにとってこのギターは「楽器を超えた存在」なんでしょうね。
ES-345はES-335の上位モデルで、Varitoneサーキット(ロータリースイッチによるトーン切替)が搭載されているのが大きな特徴ですが、マーカスのヴィンテージがオリジナルのまま残っているかは不明瞭な部分もあります。
セミアコースティック構造のESシリーズはソリッドボディとは全く異なる空気感のある鳴りが出る。特に中低域の暖かさと、音の立ち上がりにある独特のコンプレッション感がブルースにハマるんですよね。
Gibson Marcus King Signature ES-345 Custom
プロダクションモデルとして市販されているシグネチャーは、Varitoneを省去し、ストップテールピースを採用したシンプルな設計。
ヴィンテージのBig Redをツアーのリスクにさらさないためのバックアップとしての役割もあるでしょうし、シンプルにした分だけメンテナンスも楽。
このあたり、実用性を重視する彼のスタンスが反映されています。
その他のギター
‘57年ゴールドトップのリイシューLes Paulはロック寄りの楽曲で、Hummingbirdはアコースティックセットで使用。フライデイトでは「ビーター」(使い倒し用)ギターを持ち出すこともあるそうで、高価な楽器を過度に守ることよりも演奏に集中することを優先する姿勢がここでも見えます。
アンプ:カスタムOrangeの独自設計
Custom Orange 30W Head
ここが面白いポイント。
彼のカスタムOrangeは、プリアンプがブリティッシュ系の設計でパワー管に6L6を使っている。
通常のOrangeはEL34やEL84を使うブリティッシュサウンドが主流ですが、6L6はフェンダー系のアメリカンアンプに使われる管。
つまり「ブリティッシュのミッドの噛みつき方」と「アメリカンのクリーンヘッドルームと低域の豊かさ」を一台で両立させるハイブリッドなアンプなんです。
この発想は彼の音楽性そのものですよね。ブリティッシュ・ロックの攻撃性と、アメリカン・ブルースの温かさを同時に持っている。
Mojotone 8x10 カスタムキャビネット
キャビネットも特注で、Mojotone製の8x10スピーカー構成。
これは「Fender Super Reverbを2台縦に積んだような音」を目指した設計で、コンボアンプ的な空気感のある鳴りを大音量で実現するためのもの。
普通のギターキャビネットは4x12が定番ですが、8x10にすることで各スピーカーの負荷が分散されて、音がよりクリアでパンチのある出方をします。ベースアンプ的な発想ですが、ギターでこれをやる人は珍しい。
エフェクターボード:入手しやすいペダルで最高の音を出す
歪み / ブースト
TS9は「パワーアッテネーター的に使う」そうで、つまりアンプのゲインを下げる方向で使ったり、ミッドを持ち上げてアンプをドライブさせたりする。MXR Micro Ampはクリーンブースト。
この2台でゲインステージをコントロールしている。
Tru-Fi Two Face Fuzzはゲルマニウムとシリコンを切り替えられるファズでゲルマニウム側のファジーで暖かい音と、シリコン側のタイトでアグレッシブな音を一台で行き来できる。
モジュレーション
MXR Phase 100、Micro Chorus、Dunlop Rotovibe、Tru-Fi Ultra Tremoloと、モジュレーション系が充実しているのがマーカスのボードの特徴。
ブルースって意外とモジュレーションが必要で、Phase 100のうねりやトレモロの揺らぎが加わるとクリーンやクランチのサウンドに「息遣い」が生まれるんですよね。
ディレイ / リバーブ
Dunlop Echoplex DelayとMXR Reverb。どちらもシンプルで使いやすいペダル。ここにもブティックペダルは一切なし。
Marcus Kingの機材まとめ
マーカス・キングの機材で最も印象的なのは、「何を使うか」よりも「何を使わないか」の選択が光っているところ。
おじいちゃんのES-345という唯一無二の楽器と、現地の楽器店で買い直せるMXRやDunlopのペダル。最高に大切なものと、最高に実用的なもの。
この極端な組み合わせが、20代でブルースの頂点に立とうとしている男の美学です。
ブルースが好きでしかもそこに現代的なロックやソウルの要素も加えたいと思っている方には、マーカスの機材構成は最高のリファレンスになると思います。
