皆さんこんにちは、masa BLIK ito(まさぶりっくいとう)です。(@masabliks)
Nita Strauss(ニータ・ストラウス)。
彼女の名前を聞くと、Alice Cooperのステージの映像が浮かぶ方も多いでしょうし、ソロ活動でのパワフルなシュレッドを思い出す方もいるかもしれません。
「ハリケーン」の異名を持つこの人は、女性シュレッダーの先駆者としてだけでなく、Boss GT-1000をメインリグに据えるという合理的な機材選択でも注目すべきギタリストです。
Ibanez JIVA10シグネチャーの独自設計と、DiMarzioとの共同開発ピックアップ。今回はそのシステムを掘り下げていきます。
目次
Nita Strauss 使用機材一覧
ギター
- Ibanez JIVA10(メイン / シグネチャー / DiMarzio Pandemonium + True Velvet)
- Ibanez JIVAJR(廉価版シグネチャー)
メインリグ
- Boss GT-1000(アンプモデリング+エフェクト+PA直出力)
- Kemper Profiling Amplifier(スタジオ用 / Rocktron Prophesyのプロファイル使用)
アンプ(スタジオ / 一部ライブ)
- Marshall JVM410H(ブリティッシュ系ハイゲイン)
弦・ピック
- D'Addario NYXL .010-.046 Balanced Tension
- Grover Allman Delrinex(カスタムピック)
ニータのサウンド哲学:「どの国のどの会場でも同じ音を出す」
Alice Cooperのワールドツアーで学んだことの一つが、「世界中どこでも自分の音は自分で担保する」ということだったそうです。
ヨーロッパの小さなクラブから、北米のアリーナまで。電圧も違えば、音響設備も違う。バックラインのアンプが変わっても、足元のBoss GT-1000とPA直出力があれば、自分のサウンドは確保できる。
この「安定性ファースト」の考え方は、ツアーミュージシャンとして極めて合理的。
ブティックペダルやヴィンテージのアンプを弾いたことがないわけではなく、知った上で「ツアーに持ち出すのはGT-1000が最適解」と判断しているのがプロフェッショナリズムを感じさせます。
メインギター:Ibanez JIVA10
さて掘り下げていってみましょー。
ボディとネック
アフリカンマホガニーボディにキルテッドメイプルトップ。
ネックはメイプル / パープルハート3ピースの「Nitro Wizard」プロファイルで、通常のWizardネックよりも速弾きに最適化された薄さ。指板はバウンド・エボニーで、指板端のエッジ処理が滑らかなため、ハイポジションでの親指の引っ掛かりがない。
ルミンレイ蓄光サイドドットは暗いステージでもフレットポジションが一目でわかる仕組みで、照明が暗転する演出の多いAlice Cooperのステージでこの機能が活きる場面は容易に想像できますね。
ピックアップ:DiMarzio Pandemonium + True Velvet
ブリッジにPandemonium、ミドルにTrue Velvet、ネックにもPandemoniumという構成。
Pandemoniumは名前の通り混沌とした暴れ方をするピックアップかと思いきや、実はハイゲインでもアーティキュレーションが残る設計。速弾きでの一音一音の分離が良くて、音が団子にならない。
True Velvetはミドルポジションのシングルで、クリーンのキラキラ感を担当。ハーフポジション(4番や2番)では、バッキングや軽い歪みでのジャキジャキ感が心地良い。
Edge-Zero IIロッキングトレモロ
Ibanezお馴染みのロッキングトレモロ。
彼女はステージ上でかなりアグレッシブなアーミングをするので、チューニング安定性は最重要要素。Edge-Zero IIはFRに比べてナイフエッジの精度が高く、アーミング後のリターンが正確です。
メインリグ:Boss GT-1000
なぜGT-1000なのか
ここが面白いポイントで。
市場にはFractal、Kemper、Quad Cortexとハイエンドなモデラーが揃っている中で、Boss GT-1000を選んでいる。
理由はシンプルで、「壊れにくい」「操作が直感的」「世界中のどの楽器店でもサポートが受けられる」。
Marcus Kingの「壊れたら現地で同じものが買える」という発想と近いですね。Bossの製品は世界中に販売網があるから、万が一の故障時にも対処が容易。
GT-1000のAIRD(Adaptive Instrument Response with Drive)技術は、従来のBoss製品と比べてかなりのレベルアップで、特にダイレクト出力時の音の自然さが改善されています。
Kemper Profiling Amplifier(スタジオ用)
面白いのが、スタジオではKemperを使っていて、しかもそのプロファイルがRocktron Prophesyという90年代のラックプリアンプであるという点。
「チューブアンプの音が欲しい」のではなく「自分が長年作り上げた音のプリセットを再現したい」というのが本質。その「自分の音」の起点がデジタルラックだったというのが、彼女の音作りの独自性を表しています。
Nita Straussの機材まとめ
Nita Straussの機材を一言で表すと、「サバイバル志向のプロフェッショナル装備」。
ツアーで何が起きても対応できる堅牢性を持ちながら、出てくる音は一級品のシュレッドトーン。
Ibanez JIVA10の緻密な設計と、Boss GT-1000のタフネス。そしてDiMarzio Pandemoniumがもたらす、速弾きでも潰れない解像度の高い歪み。
「ライブで確実に自分の音を出す」ということを最優先にした、極めて実戦的な機材構成です。
