皆さんこんにちはmasa BLIK ito(まさぶりっくいとう)です。(@masabliks)
ウチヤマユージ作品「もろびとこぞりて」につづいて「夏の十字架」もレビューしたいと思います。
こちらはウチヤマユージ初期の短編集となっており、5篇の物語を読むことができます。
表題の「夏の十字架」がページ数も多くウチヤマ作品のエッセンスを感じることができるし、Kindle Unlimitedで読めるので入り口としてオススメです。
「もろびとこぞりて」のレビューの記事は下においておくのでよければ!
目次
夏の十字架 収録作品
- 夏の十字架
- ちりぬるを
- カナシミ
- はじまりの恋のはじまり
- honeycomb
の5篇。
表題の「夏の十字架」が半分くらいのページ数を占める中編となっており、他の作品はコンパクトな長さで読みやすくなっています。
夏の十字架
クスリの売人であるGとK、その顧客であるシャブ中の女子高生、さらに大麻を新規で購入しようとする元銀行員の男の4人我中心人物となって物語が動きます。
ヘヴィなテーマをライトな絵柄と、重みを感じさせない会話やストーリーでさらっと読ませるのがウチヤマユージっぽさだと思います。
どんでん返しのみを期待して読むと終盤で肩透かし感もないわけではないですが、スルッと入ってくるストーリーの流れを楽しむ物語です。
元銀行員の男がところどころ不穏な動きをするのですが、前の動作や布石を裏切らず、いろいろな意味で安心して読み進められるのが◎
ちなみに登場人物の一人が「もろびとこぞりて」にも出てきたりします。
ちりぬるを
夫に先立たれたおばあさんの一日を描いた話。
静けさが十分に描かれた短い物語なのですが、ところどころ認知症の気配があったり不安がよぎります。
最後のセリフの物悲しさはなかなか…!
カナシミ
何度も生まれ変わった元人間の猫「カナシミ」が妻を探して旅するうちにある夫婦に出会う話。
夫婦の悲しみと猫の「カナシミ」がポジティブにさよならしていくさまを軽やかに描いています。
こちらも最後にオチをつけてつなげるのがうまいですね。
はじまりの恋のはじまり
猫を介して恋が始まるというボーイミーツガール的な話。
ウチヤマユージ作品にしてはちょっとだけ物足りなさがありました。
それでもサクッと読めるので間延びはしません。
honeycomb
雷が原因か、男の子の天袋(押し入れの上の部分)とちょっと年上のお姉さんのベッド下の収納が時間も場所もちょっとずれてつながってしまう話。
それを利用したトリックが施されておりハラハラさせます。
時間と場所のズレを正六角形がズレながら連なっていくhoneycomb=蜂の巣になぞらえてのネーミングでしょうか。
乙一の「Calling You」(失はれる物語収録)で似たような設定をみましたが、時期的にはこちらのhoneycombが先のよう。
「Calling You」に比べてこちらは爽やかなエンドになっています。
夏の十字架 / ウチヤマユージ レビュー まとめ
どの話も読後感が爽やかでありながら、何かが残るウチヤマユージ作品の初期短編集「夏の十字架」レビューでした。
他の作家ではもっと引き伸ばす設定も簡潔に数コマでまとめ上げるうまさも魅力です。
Kindle Unlimitedで読めるので入りとしてもいいと思います。
「もろびとこぞりて」はこれに比べてダークな面がもうちょっと出てるかもしれません。
そちらのレビューもぜひ!
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もろびとこぞりて / ウチヤマユージ レビュー犯罪者の家族に対する悪意と罪とは Kindleで読める本
伏線、読後感、テーマのドロドロさのバランスがすばらしい
ウチヤマユージ / もろびとこぞりてのレビューをします
これをよんでウチヤマ作品かなりハマってしまいました
絵柄や読後の爽やかさに対して渦巻く不穏さが絶妙なシーソーゲームを見せます続きを見る
Kindle Unlimitedは月額980円で200万冊以上の本が読み放題になるのでかなりオススメ!
ぜひ下の記事を参考にしてみてください。
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