皆さんこんにちはmasa BLIK ito(まさぶりっくいとう)です。(@masabliks)
前回「八月のくず」のインプレ記事を載せたのですが、今回レビューする「あむんぜん」のほうが時系列的には古く出版されたものでした。
「八月のくず」でひさびさに平山夢明の文章の圧力にやられていたいたのですが、内容は暗くキツいものが多いのに、何故か読後感がスカッとする感覚の片鱗が今作にもあります。
逆に言えば読む順番も逆にすればよかったかもです。
目次
平山夢明 あむんぜん
実話系怪談「東京伝説」で人が人との関わりで生み出す怪事件をサビたナタでザクザク切り刻むような語り口で紡いだ平山夢明さん。
「ダイナー」は映画化もされました。
「独白するユニバーサル横メルカトル」、「他人事」、「メルキオールの惨劇」はオススメです。
今回の あむんぜん は
- GangBang The Chimpanzee
- あむんぜん
- 千々石ミゲルと殺し屋バイブ
- あんにゅい野郎のおぬるい壁
- 報恩捜査官夕鶴
- ヲタポリス
- 1995とN.Yとシスターとブルース
の7篇の短編集。
前回読んだ「八月のくず」の流れのように「暴力とグロ描写」の嵐のような圧力が減っている印象。
ちょっとお下品感がましているのでちょっと笑ってしまうような感じをうっすら感じます。
GangBang The Chimpanzee
動物園に営業に行った男がチンパンジーに犯されるシーンから始まる話。
保護された男が理不尽な世論や上司に翻弄されながら、最後きっちり蹂躙されて終わります。
この辺の救いの無さは平山夢明の通奏低音のようなものなのですが、不謹慎な笑いの雰囲気もずっと漂っており、比較的ライトに読めます。
最初の10ページでこのショッキングさ、初見殺し感満載です。
中毒感がやっぱりあるんだよな~
あむんぜん
過去、事故にあった「あむんぜん」という名の少年、学校の友人のおふざけで超能力があることが判明します。
密かに友情を育んでいく中、最初に発現した亡き母を見た奇跡をもう一度求める欲望を悪意のある同学生に利用されていくあむんぜん。
最後のあっけなさ感も平山夢明の作品ではよく見る感覚です。
グロさの中にも希望を灯して終わる感じも同じ。
人生の「脈絡のなさ」や「暴力のように襲いかかってくる不幸」と対義するような「祈り」がこの作品にも感じます。(少しだけ)
千々石ミゲルと殺し屋バイブ
この作品だけではないのですが、本当にタイトルがふざけています。
登場人物も悪夢のようなネーミングセンス。
頭が弱めな、それが故に借金を背負って首が回らなくなった女が主人公です。
前半はシモめなグロ描写で、平山夢明にしてはめずらしいなと思います。
メシ食いながら読むものでは絶対ないですね…
このままひどめの悪ふざけで突っ走ると思いきや、後半また奇跡系の話になっていきます。
主人公の行動や雰囲気がそんなに暗い感じがないので、こちらもそういう意味ではライトに読めます。
ちょっと後半の奇跡が唐突な感じもしたかな…
平山夢明 あむんぜん レビュー1 まとめ
上述したような全力の「悪ふざけ感」が平山夢明作品の理不尽さとリンクしていてそれを感じられれば中々楽しめる作品だと思います。
後半はシリアスさもエグさも増していきます。
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平山夢明「八月のくず」を読んだのでネタバレありのレビュー1
平山夢明「八月のくず」を読んだので読書感想文を。
平山作品としてはポップさもあるので手を伸ばしやすい作品かも
要素である清々しいまでのクズ人間
暴力とグロ描写
ひとさじの救い
気になるタイトルは健在です
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平山夢明「八月のくず」を読んだのでネタバレありのレビュー2
平山夢明「八月のくず」短編集を読んだのでレビュー2です
前半の圧倒的不条理感に比べ後半はファンタジー要素が多めな作品が多く
どっぷり平山ワールドに浸れます
なんかメタル聴いた感覚と似た読後感です続きを見る