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【機材レビュー】TOOL Adam Jonesの機材システム(2025 Japan Tour Update)

皆さんこんにちはmasa BLIK ito(まさぶりっくいとう)です。(@masabliks)

先日、待望の来日公演を果たしたTOOL。

東京ドームでの圧倒的な音圧と、緻密に構築されたアンサンブルは記憶に新しいです。

以前、アダム・ジョーンズの機材についてはブログで触れましたが、今回の来日公演や近年のツアーで見られるアップデートされた要素を含め、彼の「音響建築」とも言えるシステムを改めて補完・解説します。

目次

Adamの新アイコン:Gibson Custom Shop Flying V Reverse Silverburst

今回のツアーにおける最大のトピックは、やはりフライングVの存在です。

長年レスポール・カスタムのイメージが強固だったアダムですが、ステージ上で異彩を放っていたのが「Reverse Antique Silverburst」フィニッシュのフライングV。

  • リバース・シルバーバースト: 通常とは逆に、ボディ中心が黒く、エッジに向かって銀色になるカラーリング。
  • Futuraヘッドストック: 通常のVヘッドではなく、Gibson Futuraに由来するスプリット・ヘッドストックを採用。
  • 重量級のボディ: ノン・ウエイト・リリーフのマホガニーボディ。

彼のサウンドの核である「重厚なミッドロー」を損なうことなく、視覚的にも聴覚的にも新たなフックとなっていた。

限定生産されたコレクターズ・エディションとしての側面も強いが、実戦投入されている点がアダムらしい。

不動のメイン:1979 Gibson Les Paul Custom

もちろん、ライブの主軸は依然として1979年製のレスポール・カスタム(シルバーバースト)。

経年変化によって銀色が緑がかった黄色(Greenish Yellow)に変色している個体です。

  • Seymour Duncan SH-6 (DDJ): リアピックアップには高出力なセラミックマグネットのSH-6(あるいはそれに準じたカスタム巻き)を搭載。
  • ヘッドの重量: 重いヘッドストックがサステインとタイトなローエンドに寄与しているという説が有力。

近年のシグネチャーモデル展開(Gibson/Epiphone)により、サブ機として彼のシグネチャーモデルがステージに並ぶことも増えたが、オリジナルの持つ「枯れつつも太い」トーンは唯一無二。

音響の壁:Diezel VH4 & Marshall Super Bass

アダム・ジョーンズのサウンドマジックは、単一のアンプではなく「複数のアンプのブレンド」にあります。

今回のツアーでもその基本思想は変わっていません。

1. Diezel VH4 (Blueface)

彼のサウンドの「モダンな重厚さ」と「コンプレッション」を担当。

Bluefaceと呼ばれるコントロールがブルーのモデルを2台使用(1台はバックアップ、あるいはステレオ展開用)。

チャンネル3の歪みは、ミュートした際の「ズン」という音圧を作り出す心臓部。

2. Marshall Super Bass

ヴィンテージのSuper Bass(改造済み)が、「暴れる高域」と「生々しい倍音」を担当。

Diezelだけでは平坦になりがちなサウンドに、有機的な食いつきと広がりを加える。

ベース用アンプであるSuper Bassを使用することで、ローエンドの太さを確保しつつ、プレキシ系特有の飽和感を得ている。

3. 第3のアンプ(Rivera / Mesa Boogie)

時期によってRivera Knucklehead TreやMesa Boogie Dual Rectifierがミックスされる。

これら3つのアンプを異なる帯域・異なる歪みの質感でブレンドすることで、ギター1本とは思えない「面」での音圧を実現している。

工業製品的なペダルボード

アダムの足元は、ハイエンドなアンプとは対照的に、驚くほど一般的な(そして安価な)ボスやMXRのペダルで構成されている。

ここにも彼の「道具」としての機材哲学が見えます。

  • BOSS BF-2 Flanger: 彼のサウンドを決定づける揺らぎ。ジェットサウンドだけでなく、薄くかけ続けることで独特の金属的な響きを作る。
  • BOSS DD-3 Digital Delay: ロングセラーのデジタルディレイ。発振やスタッター効果など、飛び道具としてフィジカルに使用。
  • MXR Micro Amp: ブースターとして常時オン、あるいはソロでのプッシュに使用。
  • Goodrich Volume Pedal: ゲインコントロールやバイオリン奏法に不可欠な、堅牢なボリュームペダル。

特筆すべきは、MIDIスイッチャーによる複雑なプログラムチェンジを極力避け、あくまで直列的なペダル操作を行っている点。

「踏めば音が変わる」というシンプルな操作性が、ライブでのトラブルフリーな進行を支えている。

また、電源供給/マスタースイッチとして、現在では生産完了しているBOSS PSM-5を長年愛用している点も、彼の実用主義を象徴している。

TOOL Adam Jones機材 まとめ

来日公演で見せたサウンドは、長年のキャリアで研ぎ澄まされた「完成された建築物」のようでした。

  • Gibson Les Paul Custom (Silverburst) の絶対的な信頼感。
  • Flying V Reverse Silverburstによる新たな視覚・聴覚的アプローチ。
  • DiezelとMarshallのブレンドによる、周波数帯域を埋め尽くす音響設計。
  • BOSS/MXRといった定番ペダルによる、質実剛健な足元。

これらを模倣するには、単に同じ機材を揃えるだけでなく、各アンプのEQバランスやマイクの位相など、エンジニアリングに近い視点が必要です。

しかし、BF-2やSH-6など、安価に導入できる要素から彼のエッセンスを取り入れることは可能。

まずは手元の機材で「異なる歪みのブレンド」を試してみるのも面白のではないでしょうか。

-A, T
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