当たり前のように新型コロナウィルスの影響は僕の音楽へ向き合い方を激変させました。
そして音楽家にも
コンテンツのオンライン化の動きを半ば強制したとも言えます。
SNSやyoutubeなどの発信の重要性が増し、ライブが出来ない状況でオンラインライブへの動きも激増しています。
とある縁で普段あまり触れないジャンルであるCreepy Nutsのオンラインライブを見て
ライブの代替品としてオンラインライブは成り立つのか
全く新たな方法論として、今後のオンラインライブを考えるべきか
またその際に
オンラインライブも進化していけるのか
体験としてのライブは廃れてしまうのか
といろいろなことを考えさせられたので文章にしたいと思いました。
自己紹介が遅れました。
皆さんこんにちはmasa BLIK ito(まさぶりっくいとう)です。(@masabliks)
目次
Creepy Nutsのオンラインライブの感想
まずはCreepy Nutのオンラインライブの感想から。
Creepy Nutsはフリースタイルダンジョンなどでも、言わずとしれたフリースタイルの名手、R-指定と
「DMC WORLD DJ CHAMPIONSHIPS 2019」で優勝した実力に申し分のない DJ松永
のユニットです。
最近では菅田将暉とのコラボレーションでも話題の2人です。
Creepy Nutsのライブは初めて見るのですが
スキルの面とポップセンスが上手いバランスで聴きやすい楽曲たちに彩られて楽しめました。
Creepy Nutsの二人はオールナイトニッポン0のパーソナリティもやっており、
曲間のMCも飽きさせない話術でライブの構成もスキのない物となっていました。
ライブそのものはジャスト1時間位で少し物足りなさを感じましたが、
その後のアフタートークなども別チケットで視聴でき、二人の最近の音楽の嗜好も知ることが出来て興味深い時間でした。
オンラインライブは従来のライブから代替可能か
さて実際Creepy Nutsのオンラインライブを見て強く思ったことは
オンラインライブは実際のライブの代替品にはならない
ということでした。
これは否定的な意味ではなく
オンラインライブでしか出来ない表現が追求しうる
ということだと思います。
もちろんいままでだってオンラインライブという興行はありましたが
ここまで必要に迫られて、しかも「それしかできない」というような状況になったことはなかったはずです。
そこで感じたのはR-指定本人が言っていた
フェスやワンマンなどのライブではキャッチーだったり、盛り上がる曲をチョイスしがちだけど、オンラインライブだからこそ実験的な曲や普段やらない聴かせる曲を披露できる
という小さいながらもべつの可能性です。
オンラインライブならではの可能性
アーティスト側がリアルタイムのオーディエンスの反応が見られないことを逆手に取った
この「オンラインライブだからこそのセットリスト」の組み方は突き詰めていけば
それぞれのアーティストの「オンラインライブ」を見る理由になりうると思います。
ここから考えればインストに近いようなマスロック系のミュージシャンやTOOLのような没入感が特徴的な音楽などはオンラインライブに適しているのではと考えます。
オンラインライブの欠点、機会点
先にも述べたように
オーディエンスの反応がアーティストからリアルタイムに見れない
というところが決定的に大きそうです。
Creepy Nutsのオンラインライブでもライブの前半、見ている側からも
「演者のテンションがわかりにくいな」
と感じてしまいました。
文字情報でも演者側にフィードバックできるようなしくみがあると、またなにか違うのかもと感じます。
また当然ながらオンラインライブの特性上
再生環境がオーディエンスによってまちまち
ということがあります。
ちなみに今回僕はPCからオーディオI/Oを通しモニタースピーカーからライブを鑑賞しました。
しかしスマートフォンフレンドリーでないサイトは淘汰される昨今、スマホで全てを賄っている人々も多くいると思います。
「イヤフォンで聴くと臨場感が違う!」
的なコメントが所々見られており、音楽をやっている人間ならある程度予測できることかもしれませんが
一般的なリスナーの自然な流れが
スマホでチケットを取ってそのままスマホで見る
ということが容易に想像できる以上、音質的な部分ではある程度妥協せざるを得ない可能性もあります。
従来のライブは衰退していくのか
自分の見解ではライブに限らず
実際に会ったり、体験したりするということがどんどんプレミアム化していく
という流れは従来からあるため
その傾向が加速していくのではと思っています。
生の演者、生の聴衆という従来のライブは逆に希少価値を高めて高級化していく流れにあるのではないでしょうか。
ソーシャルディスタンスにのっとった、客席の間隔を空けて座る会場を維持するには
少なくなった観客を補うためにチケット代を高くする。
シンプルに(短絡的に)考えればまずはここからスタートしていくように思います。
そうすると「生のライブ」(こう書くとどうしても変な感じがして今まで避けてきたのですが…)を楽しめる層がハイソサエティな人々にシフトしていく。
そういう可能性もあると思っています。
それこそ、宮廷音楽家とパトロンのような関係性にも近づきうるのでしょうか。
Creepy Nuts オンラインライブを見て まとめ
以上のように、従来のライブとオンラインライブを切り分けて
べつの表現方法をアーティストが見つけた
と考えるともっとオンラインライブが研鑽されていく可能性もあり
アーティスト目線で見れば悪いことだけではないのかなと思わせられました。
これからもっとその状況を逆手に取った面白いことを思いつく
芸術家が生まれるチャンスかも知れないと思います。
これから自分もオンラインライブの可能性は考え続けたいと思わせられた素晴らしいオンラインライブでした。