皆さんこんにちは、masa BLIK ito(まさぶりっくいとう)です。(@masabliks)
Guthrie Govan(ガスリー・ゴーヴァン)。
ギタリストのギタリスト。テクニカル系が大好きな人でこの名前を知らない人はいないでしょう。
The Aristocratsのフロントマンとして、音楽理論の深さ、テクニカルスキル、そして生真面目に見えて実はユーモア全開のキャラクター。「世界で最も上手いギタリストの一人」と評されることに、誰もケチをつけないタイプの人です。
で、そんなガスリーが2024年以降、チューブアンプを捨てて完全デジタルに移行し他と話題になりました。
結構衝撃的な出来事として一時期湧きましたね。
今回はその最新リグを中心に掘り下げていきます。
目次
Guthrie Govan 使用機材一覧
ギター
- Charvel Guthrie Govan Signature MJ San Dimas SD24 CM(メイン / HSH)
- 同モデルの予備(ドロップDチューニング用)
デジタルリグ
- Fractal Audio FM9(アンプモデリング+エフェクト一括)
- Laney LFR-212(FRFR / ステージモニター用)
弦
- D'Addario NYXL .011-.049(または .011-.052)
ピック
- Red Bear Trading Co. シグネチャーピック(Extra Heavy / グリップホール+カスタムエッジ)
ガスリーのサウンド哲学:デジタル移行は「妥協」ではなく「進化」
これまでVictory V30/V50やSuhr Badgerといったブティック系チューブアンプを愛用してきた彼が、Fractal Audio FM9に完全移行したのは業界でもかなり話題になりました。
「あのガスリーがデジタルにした」というだけで、モデリング技術の信頼性を証明するに十分なインパクトがある。
移行の理由は明快で、The Aristocratsの国際ツアーです。飛行機移動でアンプヘッドとキャビネットを持ち運ぶのは物理的にも経済的にもキツい。
加えて、毎晩異なる会場で同じ音を出すには、デジタルの再現性が圧倒的に有利。
「でもチューブの方が人間的な音がするんじゃないの?」という疑問に対して、彼の答えは「FM9の音を聴いてから言ってくれ」です。
実際、ライブ動画を観てもFM9の音だと気づかない人がほとんどだと思います。それくらい、2024年以降のFractalのモデリング品質は高いんですよね。
メインギター:Charvel Guthrie Govan Signature
さあ見ていきましょう。
デザインと仕様
バスウッドボディにアッシュトップ、キャラメルメイプルネック、24フレットのステンレスフレット。
HSH(ハム+シングル+ハム)のピックアップレイアウトで、5wayスイッチに加えてコイルタップが可能。
これにより一本でハムバッカーのファットな音から、シングルコイルのキラキラした音まで、実にバラエティ豊かなサウンドが出せます。
ステンレスフレットは彼のように高速レガートとワイドストレッチを多用するプレイヤーにとっては恩恵が大きい。
フレットの摩耗を気にしなくていいから、長期ツアーでも常にコンディションが安定する。
コンパウンドラジアス指板は、ローポジションでのコードワークとハイポジションでのチョーキングの両方に最適化された設計。
こういう細かい部分の積み重ねが、あらゆるジャンルに対応できるギタリストの足元を支えているわけですね。
ロッキングトレモロは、彼の得意とするワイルドなアーミングでもチューニングが安定する設計。
ジミヘン的なアームワークから繊細なビブラートまで、トレモロの表現力を最大限に使い切っています。
デジタルリグ:Fractal Audio FM9 + Laney LFR-212
FM9ですべてを完結
アンプモデリング、エフェクト処理、ルーティング、すべてFM9の中で完結。
ステレオでFOH(PA卓)に出力しつつ、ステージ上ではLaney LFR-212(FRFR=Full Range, Flat Responseモニター)から自分用の音を出す。
FRFRモニターの良さは「モデラーで作った音をそのまま鳴らせる」ところ。
通常のギターキャビネットを使うとキャビネット自体がEQフィルターとして機能してしまい、モデラーで作った音が変質する。
FRFRならその問題がない。
LaneyのLFR-212は12インチスピーカー2発で音量も十分に確保できるので、ロックバンドのステージでも空気を動かしてくれる。
モデラーだけだとどうしても「空気感がない」と感じることがありますが、FRFRからの物理的な音が体に当たる感覚は、プレイヤーとしての演奏フィーリングに大きく影響します。
弦とピック:こだわりの指先
D'Addario NYXL .011-.049
彼は.011始まりの少し太めの弦を使っています。
NYXLはD'Addarioの中でもハイパフォーマンスラインで、高炭素カーボンスチールのワイヤーを使用。テンション感がしっかりしていて、チューニングの安定性が高い。
.011始まりはそこそこテンションがかかるので、ベンディング(チョーキング)にはそれなりの指の力が必要です。でも彼くらいの指のコントロールがあると、太い弦のほうが音の芯が出やすくて、結果的に良いトーンになる。
Red Bear Trading Co. シグネチャーピック
トーテックス素材のような天然素材系ピックで、Extra Heavyの厚め仕様。
グリップホールが空いていて滑りにくく、エッジにカスタムのセレーション(鋸歯)加工が施されている。
ピックの材質と厚さは音に直結する部分で、薄いピックだとアタックが「パシャッ」と軽くなるのに対して、厚い天然素材系だと「ガツッ」と芯のあるアタックになる。
ガスリーの太くて粒立ちの良い音は、このピックの影響も大きいと思います。
Guthrie Govanの機材まとめ
ガスリー・ゴーヴァンが完全デジタルに移行したことは、ギター機材の世界にとって「一つの答え」が出た瞬間だったと思います。
チューブアンプ派の最大の論拠は「あの人間的な音はデジタルには出せない」でしたが、世界で最も耳の良いギタリストの一人がデジタルを選んだ。それは技術の進化に対する正当な評価であり、同時に「良い音を出すのは機材ではなく人だ」という普遍的な真実の証明でもあります。
FM9とCharvel2本だけで世界ツアーに出られる。しかもどの会場でも「ガスリーの音」がする。
機材に迷っている方は、「あのガスリーでさえFM9一台で十分だと判断した」という事実を参考にしてみてはいかがでしょうか。
